gt00-02.jpg  翌日訪れた川奈邸には、見たことのない小さな女の子がいた。



 その瞬間を、僕は今でもときどき、鮮やかに思い出すことがある。

 陶器のように白い肌と、サファイアの色をした瞳。
 ブロンドの髪がゆるく巻いているのは生まれつきなのだろう。
 ブルーのワンピースの上からでもわかる、驚くほど華奢な体つき。
 白いエプロンが、子供の頃に読んだ童話の主人公を思い出させる。

 そして何よりも、その整った顔立ち。まるで精巧な細工の人形が動いているようだ。

 紅茶を運んできたのは、小さな女のコ……。

 あまりにも可憐なその子の美しさに、僕は文字通り息を飲み──魅せられていた。